ライトの光は弱くても広範囲に広がっていることにお気づきでしょうか?
クワガタが光源近くに着地せず、旋回離脱して遠くに逃げてしまう原因の一つと考えています。
これを避けるために、簡単に光をカットできないか?と思いはじめました。

1.クワガタの旋回離脱防止策の模索


わかりやすい2枚の画像を比較します。

↓は灯火採集時にガスが出てきて光が乱反射している画像です。
ガスで光が乱反射

↓画像ソフトを使って上の画像を『フィル ライト 明確化』という加工をしたら、少なくてもライトの光が赤い点まで広がっていることがわかりました。
画像加工でライトの光を明確化

この光をカット(狭く)して虫の着地をより光源に近づけられないか?
光の幅を狭くすれば、回転しながら飛来する虫の飛翔範囲も狭くなるのではないか?

この対策としては、2013年に行ったワンタッチの日除けテントを使った採集で、一定の効果を確認しています。
しかし、去年と今年は使うことが出来ませんでした。

理由は、大量のマイマイガの飛来。

想像を絶する数を呼んでしまうためです。
そこで、もっと簡単にできる方法を探すために実験を行うことにしました。

2.準備

@上側の光をカットするためツバを装着したらどうか?
ツバライトにツバ装着
ツバは、バイク用のパーツがSL3050の径に驚くほどぴったり。
バリが出ているフチを安全のためにU型パッキンでガードします。

A光の幅を狭くする筒を装着したらどうか?
左は点灯前、右は点灯後。
ライトに筒を装着光が膨張
100円均一のゴミ箱で作成。
光を通しやすい白がポイント。
SL3050のサイズに合わせてカットします

3.採集

ミヤマクワガタ

ガ
上左:オオウスヅマカラスヨトウ
上右:シラホシヨトウ
下左:不明
下右:マメキシタバ

ガ
上左:ゴマフボクトウ
上右:マエキヒメシャク
下左:不明
下右:ヨツボシホソバ

ガ
上左:オニベニシタバ
上右:キシタミドリヤガ
下左:アヤトガリバ
下右:シロスジカラスヨトウ

ガ
上左:タテスジシャチホコ
上右:オオクワゴモドキ
下左:クルマスズメ
下右:シモフリスズメ

ムシ
上左:コガネムシ
上右:オオゾウムシ
下左:ツノアオカメムシ
下右:オオヒラタゴミムシ

ムシ
上左:クマゼミ
上右:オオメコナガカワゲラ
下左:オオメコナガカワゲラ
下右:アオスジアオリンガ

オオメコナガカワゲラ祭り
↑写真ではわかりづらいですがオオメコナガカワゲラが沢山

スジクワガタのメス
↑珍しいスジクワガタのメス

4.効果


3パターンのライトを並べました。

@ツバを装着した50W
Aノーマルな50W
B筒を装着の50W

光の直線方向と地面の反射を見ます。
ライトの比較

@ツバタイプ
ツバ装着ツバ照射
青い光の筋の上側よりも下側が強くなっています。
地面はツバの反射で前方部分が広めに光っています。
それ以上に光の収束に乱れが出ているのか、
綺麗な輝線が出ていないように見えます。

Aノーマルタイプ
何も装着しない光の方向
青い光の筋の上側も下側も均一に放射されています。
地面は三脚側に近いほうが光っています。
輝線は綺麗に出ているため、虫の飛翔放物線も乱れがありません。

B筒タイプ
筒を装着光が膨張
ライトのヘッドの回りが光っています。
地面は均一に柔らかい光で照らされています。
輝線も出ているものの、周辺はかなり暗くなってしまいます。


5.結果

今回装着したツバと筒ですが、上部の光はいくらか抑えられるものの、輝線の乱れや光量減少?が起きるため、ライト先端に何か装着するのは、直線方向を照射するオオクワガタにはあまり有効ではないと感じました。

1灯づつ同じ場所や気象条件でテストするのは難しく、3灯並べて飛翔範囲の違いを見るのはライトが影響し合ってしまい、まだまだ研究が必要です。

マイマイガさえ来なければ、ワンタッチな日除けテントが有効と感じた結果となりました。ライト1灯なら、おすすめです。

日除けテントを使った灯火採集レポート
https://light-trap.jp/trap130803.html
https://light-trap.jp/trap130804.html